1990年「みずゑ夏号」マン・レイの特集号です。
MIZUE
SUMMER 1990
篠山紀信さんによるマン・レイのアトリエ写真が掲載されています。
マン・レイ 遺されたアトリエ 篠山紀信
マン・レイ 遺されたアトリエ 篠山紀信
宮脇愛子さんのインタビュー記事もあります。
インタヴュー:宮脇愛子 マン・レイのパリ
そしてこちらは、私が初めて読んだ丹生谷貴志さんの評論です。
マン・レイ-あるいは天使的ピンボケ 丹生谷貴志
この評論はどの書籍にも収められていませんので、少し長めに引用させていただきます。
「1933年に自殺したフランスの異様な作家レーモン・ルーセルの初期の作品に「眺め」という不思議な韻文小説(?)がある。ガラスのペン先に見入り、そのガラス玉の中にひろがる光景をまさにそのペンによって書きつづっていくという、視線とエクリチュールがレンズの青い輪郭のように交錯され続ける、乾いて軋むガラスの砂からなるような作品である。
私の眼差しは
ガラスの玉に入りこみ、するとその透明な底部が
はっきり見えて来る・・・
それはとはる砂浜の
活気に満ちた、景色の素晴らしい時間を示していて、天気は上々。
ルーセルはマン・レイとは資質をまったく異にする作家だが、『眺め』という作品はマン・レイという天使的なレンズを思い出させるのだ。
マン・レイ=ガラス・ペンはそのガラス玉=レンズの中に外界の透明な音のしないミニアチュールを構成する。素晴らしい景色・・・天気は上々・・。そしてしかし、そのガラスは少しばかり歪んでいて、そのガラス玉の中で外界は現実以上に透明な輪郭をえながら、どこか斜めにかしいでしまい、とんでもないところにピントが合ってしまったりその歪みの縁で首や手首が消えてしまったりする。このつまらないガラス玉はしかし、外界のすべてを端からまるく回転させながら自分の中に律儀に取り込んでいくだろう。」
-丹生谷貴志「マン・レイ-あるいは天使的ピンボケ」
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