あこがれの伝統芸能「狂言」を観る機会をいただきました。
矢来能楽堂、住宅街に突然すばらしい能楽堂が・・。
今回の公演は、狂言師中村修一先生の狂言教室の生徒さんたちを中心として開催された「第一回 末ひろの会」です。
最初に野村万作先生の小舞「花の袖」
この舞、本当にすばらしくて、万作先生が舞台に上がられると、一瞬で能楽堂の空気が変わります。
この感じ・・?
と思い起こしたのが、十二世市川團十郎の「汐見の見得」
あの時は、歌舞伎座の中に風が吹き荒れるような感覚がありました。
團十郎の言葉に「宇宙観」や「波動」がありましたが、まさに万作先生の舞からもそれらを感じます。
能楽堂全体がやさしく美しい花びらに満たされ、それらに包まれ揺蕩い、別世界に誘われたような気持ちになりました。
この舞台を拝見できた事、この感覚得られた事、一生の宝物です。
さてさて、本編ですが、、
これが、どれもとても楽しくておもしろい。
生徒さんの公演なので、拙い部分もあるのですが、配役が適材適所なのもあり、庶民の日常の喜劇が十分に表現されています。
みなさん、中村先生を信頼し、安心して舞台に立っていらっしゃるのが、伝わってきます。
お話は、だいたい、ご主人の留守に悪さをして取り繕う、とか、盗みに入って見つかり動物の振りをするとか、そんな感じなのですけど、それぞれに見どころがあり、会話劇としての完成度も高いです。
みなさんの熱演とともに、私がどうしても目がいってしまったのが、舞台うしろに紋付袴姿の美しい姿勢で控えていらっしゃる中村先生。
じっと舞台を見守り、演者さんの台詞が飛ぶと、すかさず補助が入る。
後で調べたのですが、こちらは「後見」という大切な役割で、演劇のプロンプター役はもちろん、小道具や衣装などの補助、そしてなにより舞台監督としての役目もあるそうです。
私が個人的にすごくツボだったのが、「樋の酒」での1シーン。
狂言の太郎冠者、次郎冠者というのは、大体、ばかものなんですけどね。
こちらもご主人の留守に米蔵と酒蔵の番を言いつけられるのですが、、、
酒蔵の番をしている次郎冠者は、こっそりお酒を飲み始めます。(気持ちわかります。)
それを見ていた太郎冠者は、自分にも飲ませろといいます。(気持ちわかります。)
ただ、米蔵の番を言い使った太郎冠者は米蔵から離れられない。
そこで、律儀のポイントを全く間違えている二人が思いついたのが、竹でできた雨樋で太郎冠者にお酒を飲ませるという方法。
このシーン、演者の方たちも大熱演で、そんなおばかな二人に、紋付袴の中村先生が、美しくも、うやうやしく竹の樋を手渡す、そして、二人は、その樋を上手く使って、お酒を飲んでは、歌い踊り宴は続く。
私、このシーンにシュールレアリズムを感じて、心に響いてしまいました。
なんとかお酒を飲みたい二人、冷静に舞台を見守る後見、それら異世界が交わる瞬間て、なんとも不思議で、興味深いものでした。
なにもかもが素晴らしい経験で、とっても楽しい観劇でした。
お招きいただきまして、本当にありがとうございました。
矢来能楽堂、また行きます!
「第一回 末ひろの会」 矢来能楽堂
番組
番外小舞
花の袖 野村万作
「佐渡狐」「痺」 語「巴」「樋の酒」「盆山」「成上がり」「茶壺」「附子」「柿山伏」「魚説法」
「蝸牛」