今年は、三島由紀夫生誕90年、没後45年、何かと数字の綺麗な方ですね。
11月25日は晴れる事が多いそうなのですが、今日は冷たい雨でした。
こちらは「癩王のテラス」
三島由紀夫最後の戯曲です。
1965年に「暁の寺」の取材でタイを訪れた際に、カンボジアのアンコール・トムも見学し、この戯曲の構想が成ったそうです。
実際には、困難だと思われた上演が決まった1969年に執筆されています。
司修さんの装幀が素敵ですね。
美しい肉体を持ったカンボジア王が、癩に犯され、その肉体が崩壊していくに従って、建設中の寺院バイヨンは完成に近づいてゆきます。
緻密でスピログラフのような美しさの「サド公爵夫人」などと比して、この作品はなかなか大胆で、離れ業ともいえるような展開も駆使されています。
三島由紀夫、書簡の中で、自身の「バイヨン」は「豊穣の海」である事を綴っています。
この戯曲、来年3月に宮本亜門さん演出で、上演される事が決まりました。
「癩王のテラス」の文庫本は廃刊になっており、現在、古書か全集でしか読めません。
すごい戯曲だと思いますので、これを機に復刊してくれると良いですね。
3幕第2場 癩王の「肉体」と「精神」の対話
精神 澄みやかさと鋭さと、この世の果て、この世の底をのぞく力、それがバイヨンを建てる力だった。肉体にはそんな力はあるまい。おまへは肉の檻にとらはれた奴隷にすぎぬ。
肉体 まるでおまへのはうが俺より自由だとでも言ひたげだな。走れないから自由、飛べないから自由。歌へないから自由、笑へないから、戦へないから自由だとでも言ひたげだな。
精神 私は千年の時間を走る。おまへは空間の中を走るにすぎない。
肉体 空間の中には光りがある。花々が咲き、蜜蜂が唸つてゐる。ある美しい夏の午後は永遠だ。それに比べれば、おまへが時間と呼ぶものは、湿った暗い一筋の地下道なのだ。
今年の25日は、三島のことを書こうかな・・と一瞬思ったものの、やっぱり無理って思ってたんだけど、moulinさん書いてくれてたんだね、ありがとう!
返信削除宮本亜門さんの舞台も楽しみだけど、「癩王のテラス」復刊されるといいね。
ほう、これは面白そう。(愉)
返信削除さっそく、古書で頼んでみました。いつ、着くかなぁ...(*_*)
yomodaliteさん コメントありがとーー
返信削除しかも、「ありがとう!」とか照れるんですけど・・。
「豊穣の海」「太陽と鉄」「癩王のテラス」を遺して逝った三島由紀夫は、つくづくきっちりした人だなあと思う。
舞台楽しみなんだけど、美輪明宏以外の三島舞台で、”そこそこ成功”と思えたのは、一つくらいしかないの・・。
あ、みっちさんもありがとうございます!
返信削除はい、是非お読みになってみて下さい!