数年前に話題になった本ですが、これまで読んでいませんでした。
「アーティスト症候群」 大野左紀子著 河出文庫
この本の前半は、とにかくアーティストと名乗る人達に怒っています。
読み始めは、いやいや、そんなに怒らなくてもと思うのですが、読み進めているうちに、この作者はとても真摯に現象と向き合ってるんだなあ、と思い始めます。
芸術が、アートと呼ばれるようになった事、アーティストという言葉が出来た事で、いろんな分野にアーティストが噴出する、そういう事をとても真面目に検証します。
芸能人アーティストにも、厳しい指摘が入ります。
作者自身も書いているように、それ、さすがに怒られない?と思う部分もあるのですが、
それぞれの芸能人アーティストの作品や活動を調べながら読んでいますと、書かれている事は正確だし、なるほどと思う解釈です。
ん?これは愛?
作者の作品や、「アーティスト」に対する論考は、それらをじっくり見ないと書けないものです。
いじわるな事も書かれていますが、適当な事は書かれていません。
後半は、作者もアーティストであった事、そしてアーティストである事をやめるにいたった事を辿ってゆきます。
この部分については、共感できる事は少ないのですが、納得できる行程です。
そして、自分の思考の表現法として、書くという事を選択します。
向かうべき対象は、女性という「性」
この作者に「アーティスト」を辞めさせたものは、「アーティスト」「アート」という言葉なのではないかなあ、となんとなく思うのでした。
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