すごいタイトルですね・・。
父は私が中学生の時に亡くなりましたので、あまり長い時間はいられませんでしたが、音楽や美術や文学や自然科学などいろいろな話をしてくれまして、おかげで、好きなものがたくさんになってしまいました。
私がまだ小学生の頃に、相対性理論について熱弁を奮い
「ものがあると空間が歪むんだよ」とか
「時間は絶対じゃない、光速に近づくと時間は遅れる」とか、
「光は見えてるんじゃなくて、もののように、ここまですごい速さで動いて届くんだ」とか説明してくれました。
なんだか、よく解らないのですが、そのよく解らなさも含めて、とてもわくわくして聞いておりました。
そして、(そのせいではないかもしれませんが・・。)中学に入って「三角形の内角の和は180度」といわれても全くわくわくせず、その後の数学をはじめとする学校の成績は壊滅的なものとなりました。
当時はわくわくするもののためには、わくわくしない事を学ぶ事も大切だと思えるほど思慮がなかったのですね。
「相対性理論」を楽しむ本 佐藤勝彦 監修 PHP文庫
ですので、こういうタイトルをみるとついつい手にしてしまうのですが・・。
これは、先日実家に帰る際に、新幹線の中で読もうと思いまして、東京駅で買ったんですね。
でも、この手の本で「楽しめた」事も、「解った」事もあまりありませんでしたので、さして期待もせずに読みました。
ところが、これ、新幹線の中で、思わず隣の人を起こして、「相対性理論わかった!」と言いたくなってしまうようなすごい本だったんですねえ。
父からぼんやり聞いていたこともとても明確に説明されていますし、
特殊相対性理論と一般相対性理論の違いや、物理学において「加速度」がいかに重要な意味を持つかという事も解ったような気になりました。
しかも、この本 E=mc2 以外、ほとんど数式が出てきません。
すばらしい学者さんの説明というのは、なんて解りやすいのだろうとつくづく思いました。
けれど、この著書にも書かれていますが、相対性理論は本来数式の世界だそうです。
ですので、数式を用いて説明されるべき事を、言葉でなんとなく解らせていただいたという事です。
でもね、この理論の中には、どんなに美しい数学の世界があるのだろうと思いを馳せてわくわくする事もできるわけです。
そして、いろいろな学問や芸術に小さく垣根を作る事が、それぞれの充実を阻むどんなに愚かしい事かという事もあらためて思いました。
次は「量子論」を楽しむ事に・・。