皆さま、お天気の悪い中、おいでいただきありがとうございました。
みっちさんのきれいな写真でご覧下さい。
「If you must die, die well みっちのブログ」
画廊で作成いただいた動画も素敵です。
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今回の制作は友人からいただいた手すきの紙を見た時から始まりました。
ご両親の遺品を整理している中にあったものだそうです。
様々な木の皮や、植物で造られた紙たち。
その美しく雄弁な紙、そして1枚1枚にきれいに貼られた一文。
それを眺めていると、庭に植えられた木々や、丁寧に紙を漉いていらっしゃる姿は浮かんできました。
「family tree」は、「系図」の意味ですが、それだけでなく木々の引き継ぐもの、人との対話、
そして人が引き受けるもの、「もの」「ことば」そんなことに思いを馳せて制作しました。
手すきの紙に貼られた1文を連ねると、1編の詩のように美しいです。
紫陽花の木の皮で造った紙です
椿の木の皮で造った紙です
枝豆の殻で造った紙です
扶養の茎の皮で造った紙です
茗荷の茎で造った紙です
ミツマタの木の皮で造った紙です
ヒマワリの茎の皮で造った紙です
万年青の葉で造った紙です
千両の茎の皮で造った紙です
薔薇の枝の皮で造った紙です
松の木の皮で造った紙です
姫リンゴの木の皮で造った紙です
花菖蒲の葉で造った紙です
月桂樹の葉で造った紙です
梅の新枝の皮で造った紙です
イチョウの木の皮で造った紙です
リンゴ{紅玉}の木の皮で造った紙です
杉の皮で造った紙です
ラ・フランスの木の皮で造った紙です
李 [スモモ]の木の皮で造った紙です
桜ん坊の木の皮で造った紙です
梅の木の皮で造った紙です
桃の木の皮で造った紙です
老木吉野桜の枝から作った紙です
柿の木の皮で造った紙です
プルーンの木の皮で造った紙です
中学、高校生の頃、なぜか、新潮文庫を全部読まなきゃいけないと思っていた時がありました。
文庫本を読み終えた時に現れる奥付の「東京都新宿区矢来町71」という地名は、憧れをもって眺めていました。
そして、「この住所宛てに届かない手紙を投函する」という、中二病まっさかりみたいな文章を書いたりしていました。
もちろん、出せば届いたのでしょうけど、地方の高校生の持てる新宿の情報は、副都心のビル群とか、歌舞伎町とかで、そこに新潮社があるという事がイメージできず、何か現実から離れた「ない地名」のように思えていたのかもしれません。
で、それから数十年、先日、矢来能楽堂を訪ねた時、ふらふらと歩いておりましたら、ばったり、矢来町の新潮社に出会ったのです。
それは、昔、自分がイメージしていた通り、「ない空間」そして「新潮社がある場所」でした。
思ってみると、どうして今までここを訪れなかったのか不思議ですが、こんなに感動的に出会えるなんて、諸々に感謝しかない一日でした。
なぜか、私、ある時から、「観劇は三島戯曲に限る」という変なルールを自分に課してしまいました。
美輪明宏さんの舞台は、「黒蜥蜴」を3回、「近代能楽集 葵上 卒塔婆小町」を2回観ました。
(本当は、「毛皮のマリー」も「双頭の鷲 」も観たかった・・。)
美輪さんの舞台は、演出、美術、音楽すべて御本人によるもので、これが素晴らしい。
あこがれの伝統芸能「狂言」を観る機会をいただきました。
矢来能楽堂、住宅街に突然すばらしい能楽堂が・・。
今回の公演は、狂言師中村修一先生の狂言教室の生徒さんたちを中心として開催された「第一回 末ひろの会」です。
最初に野村万作先生の小舞「花の袖」
この舞、本当にすばらしくて、万作先生が舞台に上がられると、一瞬で能楽堂の空気が変わります。
この感じ・・?
と思い起こしたのが、十二世市川團十郎の「汐見の見得」
あの時は、歌舞伎座の中に風が吹き荒れるような感覚がありました。
團十郎の言葉に「宇宙観」や「波動」がありましたが、まさに万作先生の舞からもそれらを感じます。
能楽堂全体がやさしく美しい花びらに満たされ、それらに包まれ揺蕩い、別世界に誘われたような気持ちになりました。
この舞台を拝見できた事、この感覚得られた事、一生の宝物です。
さてさて、本編ですが、、
これが、どれもとても楽しくておもしろい。
生徒さんの公演なので、拙い部分もあるのですが、配役が適材適所なのもあり、庶民の日常の喜劇が十分に表現されています。
みなさん、中村先生を信頼し、安心して舞台に立っていらっしゃるのが、伝わってきます。
お話は、だいたい、ご主人の留守に悪さをして取り繕う、とか、盗みに入って見つかり動物の振りをするとか、そんな感じなのですけど、それぞれに見どころがあり、会話劇としての完成度も高いです。
みなさんの熱演とともに、私がどうしても目がいってしまったのが、舞台うしろに紋付袴姿の美しい姿勢で控えていらっしゃる中村先生。
じっと舞台を見守り、演者さんの台詞が飛ぶと、すかさず補助が入る。
後で調べたのですが、こちらは「後見」という大切な役割で、演劇のプロンプター役はもちろん、小道具や衣装などの補助、そしてなにより舞台監督としての役目もあるそうです。
私が個人的にすごくツボだったのが、「樋の酒」での1シーン。
狂言の太郎冠者、次郎冠者というのは、大体、ばかものなんですけどね。
こちらもご主人の留守に米蔵と酒蔵の番を言いつけられるのですが、、、
酒蔵の番をしている次郎冠者は、こっそりお酒を飲み始めます。(気持ちわかります。)
それを見ていた太郎冠者は、自分にも飲ませろといいます。(気持ちわかります。)
ただ、米蔵の番を言い使った太郎冠者は米蔵から離れられない。
そこで、律儀のポイントを全く間違えている二人が思いついたのが、竹でできた雨樋で太郎冠者にお酒を飲ませるという方法。
このシーン、演者の方たちも大熱演で、そんなおばかな二人に、紋付袴の中村先生が、美しくも、うやうやしく竹の樋を手渡す、そして、二人は、その樋を上手く使って、お酒を飲んでは、歌い踊り宴は続く。
私、このシーンにシュールレアリズムを感じて、心に響いてしまいました。
なんとかお酒を飲みたい二人、冷静に舞台を見守る後見、それら異世界が交わる瞬間て、なんとも不思議で、興味深いものでした。
なにもかもが素晴らしい経験で、とっても楽しい観劇でした。
お招きいただきまして、本当にありがとうございました。
矢来能楽堂、また行きます!
「第一回 末ひろの会」 矢来能楽堂
番組
番外小舞
花の袖 野村万作
「佐渡狐」「痺」 語「巴」「樋の酒」「盆山」「成上がり」「茶壺」「附子」「柿山伏」「魚説法」
「蝸牛」
タンポポの外来種かなと思っていましたが、「タンポポモドキ」とも言われる「ブタナ」だそうです。
「ブタナ(豚菜)」は、フランス語の属名「salade de porc(豚のサラダ)」に由来するという事です。
英名の 「catsear」 は葉の形が、猫の耳に似ている事からこう呼ばれるそうで、食用でもあり、いろいろな動物が関わる親しまれてきた植物なんですね。