観劇は、取りあえず三島戯曲限定という事にしているのですが、旧歌舞伎座取り壊し前にと、母を連れて観たものです。
旧歌舞伎座 安齊重男
市川團十郎演じる、毛剃九右衛門の姓から「毛剃」と呼ばれる「恋湊博多諷」は、抜け荷を行った人々が長崎で裁かれた事件をもとに、近松門左衛門が浄瑠璃を書き、後に歌舞伎に移されたそうです。
歌舞伎座さよなら公演 5月大歌舞伎
「毛剃」の見せ場に、船の舳に毛剃九右衛門が仁王立ちする「汐見の見得」があります。
「恋湊博多諷」
こちらのインタビュー記事に、團十郎の素晴らしい言葉がありますので、そのまま引用させていただきます。
「この汐見の見得ももちろんですが、荒事の見得というのは壮大な宇宙観を持っていると思います。言葉で表現するのはとても難しいのですが、台詞で伝える、動きで伝えるのとは別の第三の表現、波動で伝えるとでも言いましょうか。目には見えないエネルギーが舞台と客席の間で交わされる時に生まれる圧倒的な力や感動、それが荒事にはあるのではないかなと思います」
-「歌舞伎美人」より
まさにこの言葉通りで、あまりのエネルギーに、やはり唖然としておりました。
「観る」、「聴く」を越えて、直接感じる表現のすばらしさです。
今でも、思い起こせばこの時の波動を体感する事ができます。
「歌舞伎座さよなら公演 5月大歌舞伎」
この公演は、市川海老蔵さんが雄鴛鴦の精を演じる「鴛鴦襖恋睦」も上演されました。
いつか海老蔵さんの「汐見の見得」も見てみたいですね。
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