昨日ご紹介した蜷川公演を観に行った時、ちょっと不思議な事がありました・・。
私、三島戯曲は台詞が言えるくらい読むと、本当におもしろくなると思っていまして、観に行く前は取りあえず読む、行きの電車も読む、幕間もチェックという感じで、ちょっと欲深く観ます。
この時の公演は、「ミシマダブル」と銘打たれて、「サド侯爵夫人」と「わが友ヒットラー」の2タイトルを同時期に上演するのですが、公演そのものは、1本ずつ独立しています。
私は1日に両方観たかったので、午前と午後で2本観る事としました。
午前の1本を観て、パンフレットをもって、午後の台詞チェックをしておりました。
三島由紀夫全集 第24巻 新潮社
ちょうど、文庫本は貸し出し中でしたので、この重くて高い本をかかえて、ベンチで読んでいますと、突然、「午後の部もご覧になるの?」と声をかけられまして、顔を上げると、とても知的で綺麗な女性でした。
その方も午前の部を観て、午後の部もご覧になるとの事、三島作品にもお詳しくいろいろとお話をさせていただいておりますと、突然、「私、一度だけ三島由紀夫さんにお会いした事があるのよ」とおっしゃいました。
学生時代、卒論に三島を選ばれたそうで、指導教官の教授から、今日三島と合うから一緒に行こうとお誘いがあり、同席される事になったそうです。
「三島さんって、当時の世の中のイメージと違ってね、とても、もの静かで、おだやかで優しい方だったのよ」と、
「とても、周りの人に気を遣う方だったみたいですね。」と私が言いますと、
「そうなのよ、とても紳士的でね。」
私は、自分の中のイメージ通りだったので、なんだか嬉しくなりました。
それだけお話になると、「読書のお邪魔をしてごめんなさいね。」と去っていかれました。
まさに、三島小説から抜け出したような女性でした。
好きな作品は「午後の曳航」という事で、ご本人の雰囲気にぴったりです。
私は好きな作品を聞かれ「太陽と鉄」と答えてしまって、ちょっと絶句されてしまい、
なんて、空気の読めない人間だろうと、その後、反省ひとしきりです。
「鏡子の家」くらいにしておけば良かったなあ。
「鏡子の家-1」三島由紀夫 昭和34年新潮社版
「鏡子の家-2」三島由紀夫 昭和34年新潮社版
「鏡子の家-1」三島由紀夫 昭和34年新潮社版
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