「サロメ」は新約聖書に基づいて書かれた、オスカー・ワイルドによる戯曲です。
こちらは、1959年に発行された福田恆存訳の岩波文庫版です。
「サロメ」 ワイルド作 福田恆存訳 岩波文庫
その言葉・展開・視線には、いつ読んでも身震いするような緊張感があります。
三島由紀夫が「ビアズリイを選ぶことと、『サロメ』を選ぶこととの間に、そもそもどれだけの径庭があろうか」と、記しているとおり、「サロメ」といえば、視覚的にはこのビアズリイの挿絵が浮かびます。
「サロメ」 ワイルド作 福田恆存訳 オーブリー・ビアズリー挿絵 岩波文庫
こちらの文庫には、18枚のビアズリイの挿絵が収められています。
それらすべてが、もともと挿絵として描かれたものではなく、中には、オスカー・ワイルドを揶揄したとされる作品も含まれています。
ビアズリイは、音楽や文筆にも長けていたそうですが、物語や音楽性を感じる作品群です。
「あゝ!あたしはたうたうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。お前の脣はにがい味がする。血の味なのかい、これは?・・いゝえ、さうではなうて、たぶんそれは恋の味なのだよ。恋は苦い味がするとか・・」
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