最初にも書きましたが、この作品は本来壁画には不向きだといわれるテンペラの技法で描かれています。
そしてその事は、この本でも、他の記述でも「大きな失敗」と言われています。
でも、私は個人的には、そうは思えないのです。
「復活『最後の晩餐』」
もともと、壁にテンペラというのは、定着させるだけでも困難だと思われます。
けれど、短時間で描き上げる必要があり、壁材と顔料を一体化させるという、物質性と表層性の境界が曖昧なフレスコの技法では、レオナルドの望む表現は不可能だった。
そして、敢えてテンペラを選択し、その定着のために、下塗り、上塗り、テンペラの配合など研究し、制作されたものと思います。
「復活『最後の晩餐』」
その後の過酷な保存条件や、繰り返し行われた無謀な修復や加筆を鑑みると、500年以上の時を経た今、この状態であるという事は、レオナルドの試みは、そういう言葉でいうなら、「成功」なのではないでしょうか。
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