「灘の男」をご紹介した理由の一つは、こちらの解説を書いているのが、私の従妹なんですね。
従妹といっても、子供の頃、姉妹同様に過ごし、今でも、離れて過ごしていても、しばらく合わなくても、ひとたび顔を合わせば、あっという間に時空が埋まる、そんな大好きな従妹です。
「灘の男」車谷長吉 解説 文集文庫
従妹は姫路の文学館で学芸員をしており、こちらの資料館では2007年に車谷さんの特別展「作家車谷長吉。魂の記録」が開催され、好評を得ました。
解説では、車谷さんが不遇時代に通っていたお好み焼き屋さんの話や、車谷さんとともに灘祭りを見物した事などが書かれています。
それぞれのエピソードがなかなか味わい深く、それだけで1編の作品となるのではないかと思うのは、私の欲目かもしれませんが・・。
「松原屋台」
車谷さんの出身地飾磨区は海沿いですが、灘祭りを行う地域ではありません。
灘祭りについて、
「いつも傍観者として灘祭りを見ていた。傍観者ではなく、実行者になりたかった」(「日本の祭り」車谷長吉)
というエッセイが引用されています。
放心したように灘祭りを見続け、日が落ち、寒さに足をふるわせながらも、祭りの終わりを見届けようとする車谷さん。
「けんか祭りにあこがれ、灘の男にあこがれて、自ら『実行犯』になるために懸命に生きてきた少年が目の前にいた。車谷氏の中で、何か大切な儀式が行われているような気がした。」
「灘の男 解説」-竹廣裕子
車谷さん、小説を書くことにより、「実行犯」となり得たのでしょうか。
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