この本の中には、小川斌さんと小川稔さんのお話も掲載されています。
「小川軒」はもともと新橋にあり、斌さんのお兄さん順さんがシェフの、吉田健一お気に入りの洋食屋でした。
その「小川軒」が代官山に移転になり、斌さんが吉田健一の交通の便を思って銀座に開業したのが「胡椒亭」だそうです。
小川斌さんは、小川稔さんのお父様です。
「吉田健一」道の手帳 河出書房出版
「吉田健一」道の手帳 河出書房出版
「”東京の昔”の小川軒と胡椒亭」の中にも記述がありますが、丹生谷貴志さんと小川稔さんは大学の同級生です。
そんな関係もあって、私達も何度か胡椒亭におうかがいさせていただきました。
あんまり料理も頼まずに、ワインばっかり飲んでいるような私達も、とても、居心地良く過ごさせていただきました。
華美ではないけれど、なんとも言えない優雅な雰囲気が漂っており、それは、胡椒亭の持つ上質の歴史から放たれていたのだなあと、今にしてあらためて思います。
はがきのデザインが伊藤若沖「玄圃瑶華」というのは、小川さんらしいです。
「先生が坐られるカウンターの席は西向の表に近い処でしたので手にされたグラスの葡萄酒の色はそれは何とも美しい光で先生はやさしく目をほそめて楽しんでいる様子でした。」
「小川軒のころ」-小川斌
胡椒亭閉店の際にいただいたご挨拶状にも、「学生時代以来の美術への思いがあり」と書いていらっしゃいました小川稔さん、現在、茅ヶ崎美術館の館長さんです。
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