昨年の9月に観たお芝居「朱雀家の滅亡」です。
天皇家に琵琶奏者とした仕えた朱雀家の滅びを描いた美しい戯曲です。
「朱雀家の滅亡」新国立劇場
今回驚いたのは私の座席で、なんと1列目の真ん中だったんですね。
もちろん座席番号は分かっていたのですが、このお芝居、座席部分に舞台を設置している形でしたので、会場に行くまでどこに位置するのか分からなかったのです。
低めの舞台で、しかもこのテーブルを中心にお芝居が運びます。
私の目線はまさにこの写真の位置です。
私の目線はまさにこの写真の位置です。
もう、なんだか朱雀家の一員になったようでした。
「サド侯爵夫人」パンフレットより
この舞台、とてもまとまりのあるもので、それぞれの役者さんの演技も、役割が明確ですばらしかったです。
その中でも感動したのが「おれい」を演じていた香寿たつきさん。
この方も麻実れいさん同様、宝塚の元男役だった方です。
1メートルも離れないくらいの至近距離で、その姿を拝見しましたが、1点の曇りもないすばらしい演技でした。
このお芝居の中で、息子の戦死を知らせる電報を燃やして、その灰を食べるというシーンがあるのですが、見事な食べ振りでした。
元宝塚の方のお芝居は、舞台の中での引き所、輝き所のめりはりがあり、舞台全体を考えての演技だというのが、伝わってきます。
「『サド侯爵夫人』とこれとでは、全くちがった芝居のやうですが、根本に両性の対立を扱ってゐる点は共通してをり、私は政治理念をさへ男女両性のアナロジーで扱ふ傾きがあります。」
「朱雀家の滅亡」について -三島由紀夫
自身の中にこの二極を実感できる人が三島戯曲を演じると、特別の輝きを放つのではないかと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿