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2019年1月15日-28日

2020年4月29日水曜日

新型コロナウイルス感染症の日本における動向・展望_終息への道

昨日公開しました東京大学八尾先生の資料の後半部分です。
後半は、専門的な内容も含みますので、ほとんど編集しておりません。

(以下引用)
ウイルス感染の収束への道

今の医学的手法を用いるとして、このウイルス感染を収束・コントロール下に置くには以下の3本柱の確立が必須と考えられます。

ワクチン:
  異物を排除しようとする免疫反応を応用した感染発症予防のための医薬品です。ワク
  チン接種によりターゲットウイルスに対する抗体を持つようになると、一瞬感染する
  も、即座に退治されるため、感染は事実上成立しません。したがって、ウイルスも他
  人に感染させることもまずありません。現状では、いくつかの製薬会社がすでに人へ
  の効果確認を施行し始めていますが、その承認までには、効果の確認と副作用の確認
  のため時間がかかります。効果については確認が必要というのは当たり前ですが、副
  作用の確認については、この緊急時、簡略で良いではないかと思われるかもしれませ
  ん。しかし、免疫系をいじる治療であり、過去悲惨な重大事故を起こしたワクチンの
  歴史があり、その事故の特性からもこれに関しては同様に考えて手順を踏まざるを得
  ません。したがって、この手順を簡略にすることはできないため、最速の見込みでし
  か話はできません。しかも、新しいDNA/RNAワクチンの人体応用の場合には、慎重に
  ならざるを得ません。そういったことを考慮すると、入ってきた情報からは、すべて
  が上手く行って最速で1月に海外で使用可能となると言われているようです。日本に入
  ってくるのは果たして何か月後か、?です。
   
  情報を見る上で知っておくべきワクチンの基本的知識を書いておきます。従来のワ
  クチンは、毒性を落としたウイルス自体かウイルスに特徴的な蛋白を体に接種するこ
  とでウイルス特異的な抗体を作るリンパ球を誘導します。
  最近新しい方法として、DNAワクチン・RNAワクチンが有ります。簡単にDNA/RNA
  を細胞に取り込まれる形にして注射して、ヒトの細胞を使って、そのDNA/RNAのコー
  ドする蛋白(抗原)を作らせ、その蛋白に対する抗体を作らせるというワクチンで
  す。実際に、従来の弱毒化ウイルスや不活化したウイルス蛋白を打ち込むワクチン
  は、作成過程が長くかつコストがかかり、短時間大量生産という意味で大きく劣って
  います。
  しかし一方、遺伝子を接種するDNA/RNAワクチンは、短時間大量生産が可能ですが人
  間の遺伝子自体に影響をおよぼす恐れが考えられます。また、そういった意味では
  DNAワクチンよりはRNAワクチンの方が安全性が高いのかもしれません。
  現在、日本の大阪大のグループがDNAワクチン作成を公表して進めています。
  海外ではRNAワクチンの治験が行われているようです。

  従来のワクチンを含め、正確な進捗状況は不明ですが、これくらいの基礎知識をもっ
  て報道を眺めていればおおよその予測がつくものと思われます。 

抗ウイルス薬:
インフルエンザに対する抗ウイルス薬の作用機序は、人間の細胞内で増殖したウイルスが細胞外に出て広がっていく過程での、細胞外に出ていく部分をブロックします。一方、話題のアビガン(ファビピラビル: Favipiravir)は、RNAウイルスのRNA自体の転写・複製を阻害して直接的なウイルス増殖抑制です。因みに、東京大学が発表したフサン(ナファモスタット:Nafamostat)の効果は、ウイルスが人の細胞内へ侵入する、つまり感染成立を阻害する薬剤です。本邦では主にアビガンに期待を寄せていますが、この両者やインフルエンザの薬剤すべてに言えるのは、ウイルスが増殖しきった重症例に使っても、ウイルス量が少ない例に比べて切れ味が少ないのは考えれば分かることです。ウイルス輸入を完全にはブロックしないので、初期に使って免疫系が賦活化するまで・抗体ができるまでの時間稼ぎ的な役割が最も効果的な利用法と思われます。もちろん両剤の併用は一番効果が期待できます。 

 検査
  検査の目的は2点、1つはこれが無いと安全な感染・流行のコントロールができない。
  2つ目は、これが無いと個々の安全確保ができないという点です。
      現在使用可能な主な検査は、PCRによる感染の証明とIgMIgGといった2種類の抗体
      検査です。IgM抗体はウイルス感染初期(~1週間)に一過性に血中に上昇する抗体
      で、IgGが慢性期に持続的に上昇する免疫取得を意味する抗体です。この概念を利用し
      て、感染回復者の血漿の輸血が行われ、その有効性が証明されています。
      したがって、PCRIgMIgG体の両者を使えば、現時点でのウイルス保持者、新型
      コロナウイルス感染に弱い、強いの判定ができる訳です。
      全国民のこの検査結果が手に入れば、感染流行状況の把握と予測が立ち、ワクチンや
      抗ウイルス薬の使用が効果的に行われるわけです。そういった意味で、検査の役割は
      上記2点となるのです。

結語
ワクチンが普及するまで、医療崩壊が進行しないように感染拡大を防ぐべく、そして現状を回復すべく、強力な感染機会の軽減を全国民で行わねばなりません。現状の回復を見込んで、次は1年以上の長期戦を見据え、感染制御を組み込んだ仕事や教育環境の構築(テレワークなど)に関する考案も今から進めて行く必要もあります。国民全員の意識の統一化が求められます。本雑文が何らかのお役に立つことを切に願うものです。
東京大学八尾厚史「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の日本における動向・展望」引用終了)

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