展覧会のお知らせ

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2019年1月15日-28日

2020年4月28日火曜日

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の日本における動向・展望

友人の研究者から、以下周知を図って欲しいとの事ですので、掲載いたします。原文はこの2倍ほどの長さですが、了承を得て、私が半分ほどに編集いたしました。

写真は、在宅勤務中のランニングコースです。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の日本における動向・展望
東京大学保健・健康推進本部(保健センター) 講師
東京大学附属病院循環器内科所属
日本成人先天性心疾患学会 副理事長
八尾厚史

はじめに
COVID19 による緊急事態宣言の中、COVID-19 に対する理解を深めるべく、これまでの日本におけるCOVID-19 の動向・展望を私見を交え解説することにしました。
この記述は 4 16 日時点での東京を中心とした状況の記述であり、現状の刻一刻と変化する事態、 地域差をご考慮の上、ご一読いただけましたら幸いに存じます。


新型コロナウイルス感染の基本事項

1)ウイルスとは、そしてその症状はどうして生じるのか
ウイルスは、数十 nm(ナノメーター:μ〔マイクロ〕の 1000 分の 1mm 100 万分の1)の自己増殖できない物体(?)です。親和性のある細胞に入り込むことにより、その細胞内で急激に増殖し、細胞から放出され周辺のみならず体内の細胞に次々と入り込み、指数関数的に爆発的に増殖・拡散します。
この異物により、感染した細胞は指数関数的に破壊され、防御する免疫系の活性により炎症やこの異物に対するアレルギー反応が誘起されるのです。

2)ウイルス感染・ウイルスのヒトからヒトへの伝播の原理原則
ヒトに感染し増殖するウイルスは、 必ずヒトからヒトに感染できます。したがって、新型コロナウイルス は、最初からヒトからヒトへ感染するのは当然であり、次の問題は「どういった日常の環境」が感染を誘起するかということだったのです。これまでの 知見から、”3 という環境がウイルス移行を促すという話になったのですが、ここは誤解しないようにしなければなりません。3 密が揃うことがいけないのではなく、3 密のうち1つでもあっては ならないということです。そしてもう1点、3 密以外は大丈夫か?ということをよく考えねばなら ないということです。

3) ウイルスの感染経路、すなわち 3 密ですが、ここではどうやってウイルスは人から
  人への感染が生じるのかを解説します。ウイルス感染の基本 は、「ウイルスが標的
  細胞に接着する」ことです。 


3-1)3 密とは 3 密とは、密閉・密集・密接という 3つの状態を指します。

密閉: なぜ密閉でウイルス感染が起こりやすくなるのでしょうか?答えは、感染者が咳き込んだり、会話をしたり、呼吸したりすることで、空気中のウイルス濃度がどんどん高くなるため、吸い込んで・もしくは目などの粘膜から細胞内に取り込まれる確率が増すということで す。密閉空間のウイルス濃度を上げる因子は、「感染者数×ウイルス排出量(//時間) × 滞在時 間 / 空間の容積」というモデルで考えれば、それぞれの要素の危険への寄与の定性的方向を良く表現すると思います。この乗数側の要素のどれかをゼロにすればウイルスが伝播する可能性 を取り除けるのです。

密集(集団感染には密集が最悪):人と人の距離が短くなり Social Distance (社会的距離:アメリカ CDC 6 feet、厚生労働省で は 2 m を目安としています)が保てなくなり、ウイルスを多く含んだ呼気や唾液による飛沫を浴びる確率を上昇させます。これを出来る限り防ぐという意味では、マスクは飛沫距離を制限するので有効だと考えられますが、あまりに混んで人 と人の距離が近すぎると目の粘膜はもちろん、マスク越しやマスクの横からウイルスを含んだ 粒子を吸い込む可能性が高くなってしまい、ウイルスのヒト-ヒト感染の確率上昇は不可避となります。お互いがマスク着用している場合でも、密集は避ける(滞在時間ゼロ)以外完全な 感染回避はありえません。また、密集に一瞬でもいた場合は、衣服や持ち物などが汚染される可能性もあり、それを触れた手で顔を触ったり物を食べたりしりして感染が成立することも有ります。密集は集団感染の観点からも一瞬たりともあってはならない最も避けるべき状況と考えます。

密着: これは 2つの要因に分けて考えます。感染者の衣服や体に直接触れることによる直接的なウイルスの移行を許すという点、もう一つは、飛沫などを短時間であっても大量に浴びるということです。時間が長いと浴び続けるということになります。これも基本的には避ける以外、完全回避は有り得ません。

 さて、濃厚接触者という言葉があります。上記の 3 密の内容を正しく理解していれば、おのずと濃厚接触といわれる状況があったかないか分かるかと思います。自身しか正確な状況を再現はできません。したがって安全を期すには、専門家と自身の両者が自信をもって 3 密の状況にはいなかったと判定し感染回避は確実だとするならば、濃厚接触ではないとすることだと思います。感染拡大を防ぐには、自身の感染の有無に不安が少しでもあるならば、ダイアモンド・プリンセス号から下船した神戸大学の岩田健太郎教授のように自主隔離をすべきです。



3-2)3密以外は大丈夫か?
公共の場、人が共有する施設など、共同で使用するものは多くの方が触れています。利用者が多ければ多いほど感染者が触れる可能性が高まりウイルスが種々のものに付着している可能性があります。一番身近なのは電車でしょう。3密の要素に加え、手すり・つり革・座席・床など、危険が有ります。スーパーマーケットにある種々の食材なども現在の東京の感染者数からすると気をつけて触る必要があります。入り口で皆が消毒薬で手指消毒をすればその危険をかなり少なくすることができるかもしれませんが、重要であるのは、汚染されたかもしれない手をその都度消毒することです。最後の砦は、消毒を忘れた手で首以上を触らないよう注意することです。そして、必ず建物や家に入るときに手の消毒から荷物・衣服・買い物の消毒を心がけるという習慣が自宅にウイルスを持ち込まないことになります。自己防衛が可能な最後の憩いの場は自宅なのです。
(前半部引用終了)


後半「ウイルス感染の収束への道」は明日掲載いたします。

2 件のコメント:

  1. みっちです。
    大変なことになってきました。みっちも閉門蟄居しております。(汗)
    こういうしっかりした典拠のある記事は有用ですね。
    後半も掲載されたら、拙ブログでも紹介してよいですか。

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  2. みっちさん、ご家族、ご友人もお元気にお過ごしですか?
    是非、ご紹介お願いいたします。
    後半は専門的な表現もありますが、みっちさんのブログ読者の方なら、お読みいただけるのではないかと思います。

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